ふと、朝ごはんに何を食べようかと考えていたとき。
「蒸しパンって、簡単でいいな」と思ったんです。
でも、売っているものはカロリーや添加物が気になる。
──そうだ、自分で作れないかな?
そう考えた瞬間、なぜか懐かしい感覚がよみがえってきました。
「そういえば、昔よくパンを焼いてたな…」
バターロールも、ベーグルも、蒸しパンも。
学生の頃、ストレス発散に、ひとりで夢中になって作ってた。
もうすっかり忘れていたその記憶が、ふと蘇ったんです。
「え、私、できるじゃん」
驚きと、少しのうれしさが混ざったような気持ちでした。
なんだか、見失っていた“何か”が、そっと手に戻ってきたような。
それは、ほんの小さな気づき。
でも、そこから──すべてが変わりはじめたんです。
あ、私、ちゃんと“できる”じゃん
ある日、ふと思い立って、
久しぶりに蒸しパンを作ってみたんです。
といっても、材料を混ぜて紙カップに入れて──
あとはレンジでチン。それだけ。
びっくりしました。
レシピなんて見ていないのに、自然と手が動いたんです。
「そうだ、私…前にも、こうやって作ってた」
忘れていたはずのことが、
ちゃんと“自分の中に残っていた”ことに気づいた瞬間──
胸の奥が、じんわりあたたかくなりました。
ああ、私、できるじゃん。
ずっと「何もない」って思ってたけど、
ただ、見てなかっただけなんだ。
できなかったんじゃなくて、
“やってなかった”だけ。
使わなかったから、気づけなかっただけ。
レンジの音を聞きながら、私はそっとつぶやきました。
「私、ほんとは…ちゃんと持ってたんだな」
“置き去りにしない朝”が、少しずつ私を変えていった
あれ以来、朝の時間が少しだけ好きになりました。
前はコンビニで済ませていた朝ごはんも、
今は自分で蒸しパンを作るようになって──
ふわっと湯気の上がるキッチンに、
「今日もちゃんと起きてる」そんな実感が生まれたんです。
それは、誰に褒められるわけでもないし、
何かに評価されるものでもないけれど、
自分の中に“できること”があったって、静かに思い出せる時間。
うまくいかないことの方が多いし、
今だって、自信があるとは言えないけれど、
「何もない」は、やっぱり違ってた。
“もう持っていた”って、
一度わかってしまえば、あとは少しずつ戻っていくだけ。
自分を置き去りにしない朝が、
自分を大切にする一日の始まりになっていきました。
「できた自分」を、そっと見つけてあげよう
「何もない」と思っていた時期がありました。
でも、ふとした拍子に思い出したんです。
──そういえば、第一志望の学校に合格したことがあったな。
──そういえば、歯科衛生士の国家試験、受かったな。
不思議なもので、思い出そうとすると、
他にもポロポロと出てくるんです。
泣きながらも職場に行った日。
誰かにやさしく声をかけられた日。
失敗しても、もう一度チャレンジした日。
本当は、ずっと“持ってた”。
でも、比べることばかりに意識が向いて、
自分にしかないものを、ちゃんと見ていなかっただけ。
だから、試してみてください。
たったひとつでいいんです。
あなたが「ちゃんとやった」と思えることを、思い出してみてください。
最初はうまく出てこないかもしれない。
でも、それでいい。焦らなくていい。
大丈夫。あなたにもきっとあるから。
その1つを思い出せたとき、あなたの中の“光”が静かに動き出します。
“ある自分”として、今日を歩きはじめよう
今、あなたの中にあるものに、光が当たりはじめています。
それは、誰かに見せるためじゃない。
“あなた自身が、自分の価値を認めるための光”です。
もう、大きなことを成し遂げなくていい。
誰かと比べて焦らなくていい。
まずは、今日を「ある自分」で生きてみてください。
やる気が出ないなら、ベッドから出るだけでいい。
鏡を見るのが苦手なら、少しだけ前を向いてみるだけでいい。
「それでも、私はちゃんとやってる」
そう言いながら、今日という日を歩いてください。
あなたが積み重ねてきたことは、ちゃんと“ある”。
これからも、確かに“ある”。
その歩みが、あなたを連れていくんです。
思ってもみなかった、あたらしい景色の先へ。
「ない」なんて、ただの思い込みだった。
“あった自分”に気づいたとき、世界は一変します。
今、あなたもここから始めてください。
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