朝、鏡の前に立った瞬間。
「まだ朝なのに、なんで私の顔こんなに疲れてるんだろう」
そうつぶやいた自分の声が、思いのほかリアルだった。
メイクをしようとして、手が止まる。
今日は、人に会う予定がある。
だから本当は、きれいにして出かけたいのに──
どこかで「どうせ私なんて」と思っている自分がいる。
まだ何も始まっていない朝なのに、
もう今日という1日を、諦めかけていた。
「やりたいことはある」
「変わりたいとも思ってる」
──なのに、続かない。動けない。自信もない。
頭では「このままじゃダメだ」とわかっているのに、
なぜか、心がブレーキをかけてしまう。
「私は、どうしてこんなに弱いんだろう」
「また今日も、変われなかった」
そんなふうに、何度も何度も、自分を責めてきた。
そして、そんな自分を責めながらも──
どこかで、あきらめていたんじゃないでしょうか。
「やっぱり、私にはムリなんだ」
そう決めつけることで、心のどこかで
“もう頑張らなくていい理由”を探していた。
でも。
それって、本当に「あなたのせい」だったのでしょうか?
もしかしたら──
うまくいかなかったのは、
あなたが“さぼったから”でも、“意志が弱いから”でもなくて。
もっと、根っこのところにある
「前提=セルフイメージ」が、あなたを止めていたのかもしれません。
「どうせ、また途中で投げ出す」
「きっと、私には続かない」
「私なんて、誰にも必要とされてない」
──そんな思い込みが、心の奥に根を張っていたとしたら?
それなら、どんなに素晴らしい方法を学んでも、
どれだけ前向きな言葉を唱えても、
“自分らしさ”という名の壁が、行動を止めてしまうのは当然なんです。
ここで、知ってほしいことがあります。
それは──
理想の自分って、最初は“演じる”だけでよかったということ。
たとえ、今の自分がそうなれていなくても。
たとえ、心のどこかで「演技だな」と思っても。
「こんな私で生きていきたい」
そう決めて、“そのように演じる”。
それだけで、未来は少しずつ動き始めます。
以前、こんな話をしてくれた人がいます。
「最初は笑われました。
“あの人、何を気取ってるの?”って。
でも──
理想の自分を演じ続けたら、
そのうち誰にも何も言われなくなって。
気づいたら、あのときバカにしていた人たちが
“変わったね”って褒めてくれるようになったんです。」
変わったのは、現実じゃない。
最初に変えたのは、“自分のふるまい”だったんです。
そして、その一歩を踏み出した瞬間から、
「私は変われる」というセルフイメージが
静かに育ちはじめていったのです。

セルフイメージって、なんですか?
たとえば──
「どうせ私なんて」
「頑張っても、どうせ変われないし」
「また同じことを繰り返すだけ」
そんなふうに、
自分のことを“できない人間”として見るクセがついていませんか?
…実は、それこそが「セルフイメージ」です。
セルフイメージとは、
“私って、こういう人間だ”という思い込みのこと。
しかもそれは、
誰かに教えられたわけでもなく、
あなた自身が、知らないうちに“信じてきた自分の姿”です。
──たとえば。
- いつも途中で投げ出すから、自分は意志が弱い
- 周りと比べて劣っているから、自信が持てない
- 成功するのは特別な人だけで、自分には関係ない
……そんなふうに、
“自分を小さく見積もる”前提のまま、
毎日を過ごしてはいなかったでしょうか?
セルフイメージは、あなたの中にある【無意識の前提】です。
どんな行動を選ぶか。
どんな言葉を口にするか。
どんな気持ちで今日を終えるか──
それをすべて、決めているのは、実は「思考」ではなく、
この“セルフイメージ”なんです。
だから。
どんなに素晴らしいノウハウを知っていても、
どれだけ強く「変わりたい」と願っても──
心の奥で「私にはムリ」と決めていたら、
うまくいくわけがないんです。
そして、そうなってしまったのは、
あなたの努力が足りなかったからではありません。
自分を責める必要なんて、どこにもない。
だって、ずっと握りしめていた“前提”が、
本当はもう、あなたには合わなくなっていただけだから。
変えたいなら。
本当に、変わりたいなら。
まずは、“思い込み”をゆるめることから始めてみてください。
「私は変われる」
「私は、やってみる」
「私は、このままで終わりたくない」──
その“新しい言葉”が、
これからのあなたの【新しいセルフイメージ】になります。
どうか焦らないでください。
ゆっくりでいいんです。
でも──
どうか、あきらめないでください。
ここから先は、
その思い込みを“現実”に書き換えていくための
具体的なステップをお話ししていきますね。
「私を変える」って、たったこれだけのことだった。
セルフイメージって、
性格でも、才能でも、生まれつきでもありません。
ただの「思い込み」。
そして、その“思い込み”は──
気づかないうちに、習慣になっているんです。
たとえば、
- 「どうせ私にはできない」
- 「やっても続かないに決まってる」
- 「挑戦しても、きっとまた失敗する」
そんなふうに、
自分に“言い聞かせてきた言葉”が、
あなたの人生を、静かに、でも確実に動かしています。
でも、だからこそ──
ほんの少しずつ、毎日の過ごし方を変えていくことで、
セルフイメージは、ちゃんと書き換わっていくんです。
変えるのに、大きな覚悟はいりません。
特別な才能も、自信もいりません。
必要なのは、
たったひとつ、
「私は、変わっていい」と、自分に許してあげること。
その一歩が、
あなたの“これから”を変えていきます。
1. アファメーション──言葉を変える
セルフイメージは、“考え”ではありません。
それは、あなたが毎日どんな言葉を使っているかで、つくられます。
たとえば──
「どうせ私にはできない」 → 「私は、やればできる」
「自信がない」 → 「自信がない私でも、やってみる」
はじめは、しっくりこないかもしれません。
でも、しっくりこない=変化のサインなんです。
違和感があるのは、
それだけ長く、“逆の言葉”を信じてきた証拠。
でもね。
どんなに小さな言葉でも、
繰り返すたびに、それは“新しいあなた”の芯になっていく。
たったひとつでいいんです。
朝、鏡の前で言ってみてください。
「私は、大丈夫」って。
2. 書く──理想の自分を言葉にする
「理想の自分って、どんな朝を迎えているんだろう?」
──頭の中で思い描くだけじゃ、時間とともに薄れていきます。
だから、“書く”。
できれば現在形で──
「私は、朝日と一緒に起きて、コーヒーをゆっくり飲む余裕がある」
「私は、心から信頼できる人たちと、気持ちよく仕事している」
そうやって、
“まだ見ぬ私”の暮らしに言葉を与えることで、
未来は、少しずつ動きはじめます。
書いていると、
「これが本当に叶ったら、うれしいな」って思えてくる。
それが、あなたの心が“未来を受け入れ始めた”サインなんです。
3. 関わる人を変える──言葉がけを変える
「あなたは、よく会う5人の平均でできている」
──聞いたことがあるかもしれません。
これはたんなる比喩じゃないんです。
人は、無意識にまわりの空気や言葉を吸い込んで生きています。
たとえば、
- 常に文句ばかり言う人と過ごせば、気づかないうちに自分もそうなる。
- 愚痴ばかり聞いていると、「どうせ私も…」という気持ちが根を張ってしまう。
だからこそ。
「どんな人と過ごすか」は、
「どんな自分で生きたいか」と同じ問い。
いきなりすべてを変える必要はありません。
たった1人でもいい。
「その人と話すと、前向きになれる」と感じられる相手と、少しだけ時間を増やしてみてください。
それだけで、
あなたの言葉も、表情も、静かに変わり始めます。
4. なりきる──理想の自分で“演じる”
たとえ、まだ“そうじゃない自分”のままだとしても。
たとえ、心の中では「無理かも…」と感じていたとしても──
それでも、理想の自分を“演じる”。
これが、もっとも強く、もっとも確実に人生を変える一歩になります。
たとえば──
- 理想の私だったら、どう感じる?
- 理想の私なら、今、どんな言葉を選ぶ?
- 理想の私なら、この場面を、どう乗り越える?
その問いに答えるように、自分を“役に立たせる”感覚で、演じてみるんです。
はじめは、違和感だらけかもしれません。
うそくさいって、自分で思うかもしれません。
むしろ、「これでいいのかな…?」と不安になることのほうが多いでしょう。
でもね。
“演じる”ことでしか、越えられない壁があるんです。
ある人は、こう語っていました。
「まわりに笑われた。
でも、理想の自分を演じ続けた。
そしたら──本当に変われたんです。」
演じることは、嘘じゃない。
あなたが、あなたを信じるという“決意”です。
たとえ今日の演技がぎこちなくても、
たとえ誰にも気づかれなくても──
その一歩が、
“なりたい自分”に向かって、確かに道をつくっている。
どうか、演じてください。
あなたが望む未来を、
今日、この瞬間から、“演じること”で迎えにいってください。
今日という1日を、“理想の私”に近づくために使う
「こうなりたい」と思い描くだけでは、現実は変わりません。
でも──
その“理想”を、日々の暮らしの中に落とし込んでいけば、
たしかに少しずつ、でも確実に、現実が動き出します。
だからこそ、大切にしてほしいのは
「今日という1日を、どんなふうに生きるか」ということ。
ここでは、「朝・昼・夜」の過ごし方を通して、
“理想の私”を【ただの願い】から【生きた現実】に変えていく方法をお伝えします。
朝:自分の“前提”を、そっと整える
朝の過ごし方は、1日をどんな自分で生きるかを決める“出発点”です。
目覚めてすぐの心が、
「また今日も同じかな」とつぶやいてしまったら、
そのつぶやきが、そのまま1日の“背景”になってしまう。
だからこそ、朝はほんの少しだけ、
「こうありたい私」の声に耳を傾けてみてください。
- 昨夜書いた“理想の私”の言葉を、もう一度読んでみる
- アファメーションをひとつ、口に出してみる(心の中でも大丈夫)
- 朝の光を浴びながら、「ありがとう」とつぶやいてみる
たった数分でいいんです。
でもその時間が、その日を「理想の私」として生きる決意へと変わります。
昼:忘れても、思い出せる仕掛けを
日中は、いろんなことに巻き込まれてしまう時間。
朝の気持ちなんて、どこかに飛んでいってしまうこともあるでしょう。
でも、それでいいんです。
忘れてしまっても、また思い出せたら、それで大丈夫。
だからこそ、「ふと我に返るための仕掛け」をつくっておきましょう。
- スマホの待ち受けに「理想の私って、どんな人?」と書いておく
- PC画面の端に、セルフイメージのひとことを貼っておく
- 鏡を見るたび、「今の私は、どんな表情してる?」と問いかけてみる
これは、ただのメモじゃありません。
あなたの未来を、今日につなぐための“糸”です。
見えなくなってもいい。
でも、“もう一度つながる場所”をつくっておいてあげてください。
夜:1日を、あたたかく閉じる
夜は、今日という1日を、どんな私として終えるかを決める時間。
たとえ思い通りにいかないことがあったとしても、
それを責めるのではなく──
「今日も、生きてたね」とそっと認めてあげること。
そんな夜の過ごし方が、明日のあなたの土台になります。
- 今日よかったことを、3つだけ書く(最後に「私ってえらい」で締めてみてください)
- “理想の私”としてできたことを、ひとつ思い出す
- アファメーションを読んだり、声に出してみる
できなかったことじゃなくて、できたことに目を向ける。
完璧じゃなくていいんです。
でも──
「私、今日もちゃんと進んでた」って思える夜が、
明日のあなたを、もう一段、前へ進ませてくれます。

ここまで読んでくださったあなたへ
「理想の自分って、最初は“演じる”だけでよかったんだ」
──もし、ほんの少しでもそう思えたなら、
それだけで今日、あなたは一歩踏み出せています。
大丈夫。まだ変われていないとしても、
うまくできていないとしても、気にしなくていい。
今、ここにいる“あなた”が、
ちゃんと「変わりたい」と願っていること。
それこそが、未来を動かし始める唯一のチカラです。
あなたのなかにある「こんなふうに生きたい」という想いを、
どうか、なかったことにしないでください。
この先、迷う日もあるかもしれません。
また「やっぱり私にはムリかも」って思ってしまう朝もあるかもしれない。
でも、そのたびに、このページを思い出してください。
“なりたい私”は、
今日のあなたが、何度でも迎えに行ける存在です。
そして──
あなたがそれを諦めない限り、
理想の自分は、いつだってあなたを待っています。
本当に気になったら、このページも覗いてみてください。
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